最近、ふるさと納税に関する記述がやたらと目に付くようになりました。所得税の確定申告が終わり、法人税の確定申告も終わり、たまってしまった資料ゴミをまとめて整理処分したためでもあると思われますが、ちょっと気になったので書いてみました。
ラジオを聞きながら仕事をしていて耳にしたのですが、『ふるさと納税の返礼品に税金がかかるんですか?』という質問が寄せられたとか。そうか、そうなんですよね!税金に慣れていない人からすると、納税して、そのお礼として品物を受け取っただけなのに、何でその品物に税金がかかるの?という感覚になるのでしょうね。特に、寄付・納税という意識ではなく単なる“お取り寄せ”や“カタログ販売”の感覚になってしまっている人にとっては、そのような思いは強くなると思います。でも、ご安心下さい。返礼品の受け取りが多額でなければ所得の発生する可能性は低いと思います。
返礼品を受け取ることによる経済的利益にかかる税金の理屈はこうなります。
・法律上、地方公共団体は法人と認識されます。
・相続税法により、法人からの贈与により取得した財産の価額は贈与税の課税価格に算入しない、つまり贈与税は非課税である、とされます。
・では“何”所得に該当するかというと、所得税法上の一時所得に該当します。ちなみに所得税法上の非課税所得には該当しません。
・一時所得の金額はその年中の一時所得に係る総収入金額からその収入を得るために支出した金額(ふるさと納税額はこれには該当しません)の合計額を控除し、その残額から一時所得の特別控除額50万円を控除した金額となります。
上記の通り一年間で50万円を超えるような多額の寄付をなさった場合はともかく、税額に関してはまず大丈夫だと思います。ただ、ここで注意していただきたいことは、ふるさと納税は① いつ ② いくらしたか の2点と、③ その他の一時所得、例えば保険の一時金・満期返戻金などはないか、という点です。
① の『いつ』に関しては、受け取った日の属する年分の所得税の計算に関係してきます。但し今はほとんど宅配便で送られてくるはずだから、返礼品が納税したご本人の住所地に到着した日がポイントになります。受取伝票の控えはしっかりと保存しましょう!
②の『いくら』に関しては、その返礼品を受け取った時の経済的利益なのですが、これが決して販売価額ではないのです。資料によると、地方公共団体が謝礼(返礼品の調達・提供)のために支出した返礼品調達価格だというのです。問題は、その、返礼品調達価格を地方公共団体が公表していればありがたいのですが、なければ自分でネット等を駆使して販売価額を調べ、その痕跡(証拠)を残しておくしかないと思います。めんど!
③については、保険会社等からの通知書等をよく確認するしかないと思います。もしあったとしても、50万円を超える部分の1/2が課税対象となるだけですから税額はそれほど大きくはならないと思います。それよりもこの場合想定されるのは、例えば50万円くらいの満期返戻金があるのを忘れていてホイホイとふるさと納税し一時所得を計上しないで所得税の申告をした後で、5月頃税務署からの指摘で一時所得を計上した修正申告書を提出するというケース。受け取った日付や自治体ごとの返礼品調達価格などを慌てて調べるその労力とダメージの方が大きいと思います。
納税と寄付はよいことだと思います。ですが、上記のように落とし穴もありますから今のうちからご注意を!