油断してしまいました。別の業務に気をとられていたら、いつの間にか半年が過ぎていました。ふと気が付けば7月10日は目の前。源泉税の特例納付です。一般的には、個人企業や中小企業の会計業務担当者の世界では、遅くとも6月の中頃までに5月分の月次決算を締めたあと6月分の預り金を手計算で集計して5月分残高に上乗せ・合計し、納付書を作成して7月10日(今年は休日の関係で7月11日・月曜日が納付日となっております)を待つ、といったところでしょうか。
登録・開業した頃の私は、まだ固定客もなく、事務局から回していただく開業したばかりの個人事業主さん相手の継続記帳指導の仕事などを一生懸命こなしておりました。そんなとき、たまたま訪問した先が私と同じように開業したばかりの女性の行政書士さんでした。確か2回目くらいに訪問したときだったと思いますが、請求書の書き方について質問を受け、『税務署に聞いたら行政書士は源泉徴収しなくていいって言われたんですけど、ホントにいいんですか?』私 ギクッとしましたが嘘はつけませんので、正直に『ごめんなさい!前職で経理部在籍5年間と会計事務所在籍1年9か月の間一度も聞いたことがないです。知りませんでした。実になさけないけど、今、法令集も持っていないし、正確にお答えすることができません。次回までに調べておきます。調べた結果は次回報告させて下さい。』と何とかその場は逃げて急ぎ事務所に帰り、分厚い法令集を開いて該当する条文を読んでみました。結果は、アレ!エッ!ウソ!ホントカヨ?!ナンデ…?
所得税法第204条(源泉徴収義務) “少し端折って書きます”
第1項 : 居住者に対し国内において次に掲げる報酬等の支払いをする者は、その支払いの際、その報酬等について所得税を徴収し、その徴収の日の属する月の翌月10日までにこれを国に納付しなければならない。
第二号 : 弁護士 司法書士 土地家屋調査士 公認会計士 税理士 社会保険労務士 弁理士 海事代理士 測量士 建築士 不動産鑑定士 技術士その他…と続きます
俗に言う、限定列挙という規定です。いわゆる士業(侍業)が12種類列挙されておりますが、その中になんと行政書士は入っていないのです。司法書士の次あたりに書かれていてもよさそうなものですけれど、なぜか書かれていないのです。理由は今もわかりませんが、要は条文に乗っていないから源泉徴収しなくていいという理屈です。条文に乗っていないから税務署も源泉徴収しろとは言えないのです。当時、理由はわからないまま、とにかく、法令集の該当するページをビリッと破り、拡大コピーしてそれを持って行って説明した記憶があります。その後で乗っていないことについて何か思い当たることはないか逆に聞いてみたのですが、特に無いとのことでした。で、二人で勝手に考察してみました。① 国会に提出する原稿を書くときに漏れてしまい、そのまま国会に提出された(失礼!) ② 原稿を書く人が行政書士という資格を知らなった(失礼!) ③ 行政書士会で圧力をかけてはずしてもらった(失礼!) ④ あとは忘れました。こんな風に二人で思いつくままゲラゲラ笑いながら考えてみたのですが結局今もわかりません。
参考までに、国税庁のホームページにはズバリ『行政書士に報酬を支払った場合』という題名で質疑応答事例が掲載されております。ただ、『原則として、支払調書を提出する必要はありません。』とは書かれておりますが、理由は書かれておりません。
ホーム→法令等→質疑応答事例→法定調書→行政書士に報酬を支払った場合 の順でたどり着けると思います。