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段ボールと格闘している間に世間は早、年調へ

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 私事ではありますが、事務所を移転しました。といっても小田急線の線路を飛び越えて2丁目から1丁目へと直線距離にして150メートルくらいの距離を移動しただけなのですが、それでも結構大変でした。収納スペースたっぷりの物件から収納スペース最低限の物件への移転ですから。梱包を解いている途中で出した荷物を置く場所がなくなってしまうと、やむなく本や備品など当面使いそうもないものは片端から捨てて、とにかく物を置くスペースを確保し、その空いたところへ段ボール箱から物を出して置くという作業の繰り返しでした。この地へ移転してきてからもう16年たっています。今更ながらその長さを実感しています。その間、物を購入するだけで捨てるということをしてこなかったつけが今一気に噴き出したようなものです。

 さて、そうこうしている間に会計・税務の世界では年末調整の時期へと入っております。なんで分かったかというと、ポータルサイトの私めの欄(頁)を通じて私の不在中に誰かから電話によるコンタクトがあり、あわてて折り返し電話をしたところ、いきなり女性が『私って寡婦控除受けられるんですか?』と質問してくるではありませんか。

 新しい事務所の中はまだまだ開けてない段ボール箱がいっぱいなのですが、これで引っ越し気分から一気に仕事モードにアップデートされました。世間はありがたいものです。情け容赦ないというか、こちらの事情をちっとも考えてくれないというか…こちらはまだ引っ越し作業中なのに……

 で、瞬時に、“あ、又か、今年もか、”と思いつつも、荷解きの手を止めて一応事情をお聴きし、“ 今お聴きした範囲内で判断しますと、残念ながら、寡婦控除の適用はないようですね。会社の年調担当の方にお願いして去年の書類を出してもらい、変更になった部分をよく確認した上で改めて適用の有無を確認するか、あるいは会社の顧問税理士によくご相談なさったらいかがですか。”と一通りのアドバイスをしておきました。

 又か、今年もか、というのは、この時期になると必ずと言っていいくらい、このような問い合わせの電話が見ず知らずの人からいきなり掛かってくるのです。

 この時期になると、今もふっと思い出すことがあります。あれは、10年くらい前だったでしょうか、どの事業所もほぼ年調作業は終了し、サラリーマンの手元に源泉徴収票が行き渡る頃にある見知らぬ男性からいきなり電話があり、『年末調整のことでちょっと教えて下さい。』ということなのです。

 私は何のことだかよくわからず、とりあえず “ どうぞ ” と答えました。何でも、受け取った源泉徴収票に疑問点があり、周りに相談したら税理士に相談してみたらどうかと強く勧められ、ネットであちこち電話番号を調べ掛けてきたとのことです。このときも、またか ! と思いつつも、話を進めました。

 ポイントは『給料の支払い総額が自分で計算した金額と違うんです。』とのこと。

 “いくらくらい違うのですか?多いのですか、少ないのですか? ” と私の質問に対し、『×××円多いんです』

 “その金額に思い当るものはないのですか? ”と私、『ありません』とその御仁。

 このとき、私は次のようにはっきりと申しました。“大変申し訳ありませんが、これは顧問税理士ではない一般の税理士の私にはわかりません。恐らく日本中の税理士が束になってかかっても解決できないでしょう。それよりも、会社の人に聞いてみたほうが早いと思います。給料計算はどの会社も多分労務課あたりですから、その辺の人に聞いてみるのがよろしいかと思います。”

 これに対し『分からないって、あんた税理士でしょう? 年調くらいのことが分からないの?』といきり立つその御仁に対しそれから約15分ほどかけて ①なんでもかんでも税理士に聞けばOKという安直な考えはまずやめていただきたい、又そのような質問だったら顧問税理士にしていただきたい②その書面(源泉徴収票)に記載されている内容の疑問点はその書面の作成者に聞いていただきたい、またそれが一番早い解決策であると思われる③このままそのように大声で怒鳴り続けるのであればこの電話が終了後NTTに依頼して発信元を特定してもらい直ちに藤沢北警察署に業務威力妨害に該当しないか相談します④気持ちは分かるが税理士といえども神様でもなければスーパーマンでもありません。できないこともあります。それよりも一度社内をぐるっと見渡してどの部署の誰に質問すればよいか冷静に考えてください。等々、半ば教え諭すかのように説得し、最終的には、『分かりました。』と穏やかに静かに電話を切っていただきました。

 その後、その男性からは電話はかかってはきませんでした…

 そうだ、税理士に聞いてみよう。と言ってる以上、ああだこうだとは言えませんけどね!でも疲れます・・・。

 今回は、一税理士のぐちになってしまいました。