冒頭から硬い文章が続きますがどうかお許しを・・・
会社法第332条(取締役の任期)では、第1項で取締役の任期を原則二年とする、と定め、その後すぐに但し書きで定款又は株主総会の決議によって二年を短縮してもいいよと定めています。第2項では、前項の規定について、公開会社でない株式会社(委員会設置会社をを除く)は、定款によって、二年を十年まで伸長してもいいよ、と規定しています。平たく言えば、ほとんどの中小零細企業は、取締役の任期は原則二年だけれど、ルールの範囲内であれば短くもできるし、十年以内に限って長くもできるということです。ちなみに私の顧問先の会社(資本金六百万円)の役員さんの任期は五年となっております。
また、会社法第911条(株式会社の設立の登記)では、第3項十三号で取締役の氏名を、同十四号では代表取締役の氏名及び住所を登記しなければならないと規定しています。そして、同915条(変更の登記)において上記の登記事項に変更が生じたときは二週間以内に変更の登記をしなければならないと義務付けております。
少々回りくどくなりますが、もう少し。
会社法第976条(過料⦅罰金みたいなものと思ってください⦆に処すべき行為)では、取締役は会社法の規定による登記をすることを怠ったとときは、百万円以下の過料に処する。ただし、その行為について刑を科すべきときは、この限りでない。と規定しております。なんと百万円以下だそうです。
先日(というか少し時間がたってしまいましたが)あるメールを受け取りました。その内容は、『法務省のホームページに“令和3年度の休眠会社等の整理作業(みなし解散)について”という記事がアップされました。』という内容でした。びっくりしました。あわてて法務省のホームページにアクセスして内容を確認しました。概略は次の通りでした。
・ 令和3年10月14日(木)に法務大臣の広告を行いました。広告の内容は次のとおりです。
・最後の登記をしてから12年を経過している株式会社は⇒事業を廃止していない
のだったら、『まだ事業を廃止していない』という内容の届出を管轄登記所にする
必要があります。
・広告の日から2か月以内(令和3年12月14日(火)まで)に『まだ事業を廃止して
いない』という内容の届出がなく、また、必要な登記(役員変更登記)の申請もされ
ないときは、令和3年12月15日(水)付けで解散したものとみなされます(職権
で抹消されます)。
なお、通知は休眠会社に対して管轄登記所から“通知書”を発送するという形でなされ、『まだ事業を廃止していない』旨の届出についてはその“通知書”の用紙をそのまま使用して管轄登記所に提出することができるとのことです。
参考までに、同ホームページによると、昨年、令和2年第12回整理作業で解散したものとみなされた(つまりは職権により抹消された)株式会社数はなんと 31,516社となっております。この数字は多いのか少ないのか?
ここまで調べて、ふと、PT社のことが気にかかり またまた電話してみたところ、
『登記?設立登記以来 なんもやってないよ!』という返事でした。あ~あ、やれやれ…
『社長!ダメですよ、登記はきちんとしなくちゃ…それと社長、登記所から何か書類が届いてませんか?』と、私。
『書類?いや何も来てないよ。』とりあえず、一安心といったところです。そのまま続いて上記の内容をかいつまんで説明し、
『社長、来年あたりお手紙が届くかもしれませんよ、まごまごしてると職権で消されちゃうかもしれませんよ』と少し脅したところ、
『よし、わかった! 今消されちゃかなわん! 会社設立のときにお世話になった司法書士の先生の名刺はまだ残っているはずだから至急連絡とってみる!』ということになり電話は終了しました。
続いて、同じ湘南台地区の司法書士の先生のところに電話をして上記の『整理作業』の件で何か情報が入っているか聞いてみました。先生のお話によると、やはり、『通知書』なるものがチラホラ届いているようです、とのこと。実際、その『通知書』を持って先生の事務所に駆け込んできた社長さんが一人いたらしく既に変更登記をすませたとか。多分、日本全国・同じような光景が繰り広げられているのでしょう。
なにはともあれ、間に合ってよかった!!
アウト!だったら大変!
なにせ百万円以下の過料ですよ!!
皆様、登記はきちんとやりましょう!
でも忘れちゃいますよね。なにせ、再選・重任・再任を繰り返すばかりで役員さんの顔触れは全然変わらないんですもの。それでも手続きの名称は『役員変更登記』。
もう少しネーミングを考えていただければなあ!と考えるのは私だけでしょうか?
後は自己防衛するしかないと思います。
方法は事業所の個性により色々あると思います。
とにかく、次回に備えましょう。